平成28年度 2016年ISOEアジアALARAシンポジウム 2016年9月(いわき 日本)



2016年9月7日~9日の間にかけて福島県いわき市でISOEアジアALARAシンポジウムを開催した。シンポジウムには、国内および海外(韓国、米国、スウェーデン)の電力事業者および規制機関等から32名が参加した。シンポジウム最終日の9月9日には福島第一原子力発電所へのテクニカルツアー(視察)を実施した。
シンポジウムの最初2日間には、特別講演や特別セッションを含む12の発表が行われた。初めに特別講演として手塚ATCセンター長(原安協)がATC活動の概要について紹介した。特別セッションでは、「事故後の近隣自治体における活動」として、川内村の遠藤村長と環境省福島環境再生本部の小沢副本部長が講演した。技術セッションでは「福島第一原子力発電所事故のフォローアップ」、「放射線防護管理」、および「北米技術センターにおけるALARA活動」等をテーマに発表が行われた。会場での質疑応答、また、休憩時間を通して参加者間で活発な意見交換が行われた。
2日目の最後に最優秀論文の発表があり、今年度は下記の2件が選ばれた。

福島第一原子力発電所における新しい放射線管理(区域区分管理)について」東京電力HD(株)安井氏
「KISOEデータベースに基づく、放射線作業従事者の職業被ばく分析(2005~2014年)」韓国原子力安全技術院(KINS)Byeongsoo Kim氏

2016年9月9日には、福島第一原子力発電所への視察が行われた。参加者はJ-ヴィレッジにて東京電力スタッフからサイト内の状況や今後の廃止措置計画等に関する説明を受け、その後東京電力のバスで福島第一原子力発電所のサイトへ移動した。今回の視察は、2013年に開催されたISOEシンポジウムでの視察に続き2度目であるが、サイト内の放射線レベルが前回に比べて下がっていることから、前回必要とされた防護服や全面マスクを着用する必要はなく、シューズカバー、手袋およびAPD(警報付きポケット線量計)のみ装着してサイト内に入った。サイト内では、まず緊急時対策室においてサイト内の現状についての説明を受け、その後バスで構内を回り、バスの内部からサイトの随所を視察した。バスには東京電力の放射線管理部門の担当者が同乗し、その場での参加者からの質問に対応した。視察を通じて参加者から多くの質問が出て、東京電力のスタッフがそれらに丁寧に応じた。参加者は、今回の視察内容に大いに関心を抱き、その結果に十分に満足していた。

発表内容
特別講演

タイトル 発表者 発表内容
ATC活動の概要 ATC, 日本
手塚 広子氏
概要 発表資料
福島第一原子力発電所事故に関連する報告書の調査と主要解決策の特定 電中研, 日本
佐々木 道也氏
概要 発表資料

セッション1「福島第一原子力発電所事故のフォローアップ」

タイトル 発表者 発表内容
福島第一原子力発電所における新しい放射線管理(区域区分管理)について 東京電力, 日本
安井 勝広氏
概要 発表資料

特別セッション1「事故後の近隣自治体における活動」

タイトル 発表者 発表内容
帰還への挑戦:川内村 川内村, 日本
遠藤 雄幸氏
概要 発表資料
原子力発電所敷地外における除染の現状 環境省, 日本
小沢 晴司氏
概要 発表資料

報告

タイトル 発表者 発表内容
福島第一原子力発電所における放射線被ばく管理の良好事例 ATC, 日本
野村 智之氏
概要 発表資料

セッション2「放射線防護管理」

タイトル 発表者 発表内容
KISOEデータベースに基づく、放射線作業従事者の職業被ばく分析(2005~2014年) KINS, 韓国
Byeongsoo Kim氏
概要 発表資料
放射線防護に関するIAEA IRRSの成果 規制庁, 日本
鈴木 亜紀子氏
概要 発表資料

セッション3「北米技術センターにおけるALARA活動」

タイトル 発表者 発表内容
NATC CZTデータ解析ワーキンググループの活動報告 NATC, 米国
David W. Miller氏
概要 発表資料
プレーリーアイランド原子力発電所におけるアイソトープマッピングプログラム Xcel Energy社, 米国
Brad Boyer氏
概要 発表資料

特別セッション2「放射線防護に関連する国際活動」

タイトル 発表者 発表内容
国際放射線防護委員会(ICRP)の活動 電中研, 日本
佐々木 道也氏
概要 発表資料

セッション4「関連機器や装置、システム」

タイトル 発表者 発表内容
Polaris-H画像スペクトルメータの設計と適用 H3D社, 米国
Yvan Andy Boucher氏
概要 発表資料